あいみょん『今夜このまま』歌詞の意味・考察と解説

苦いようで甘いようなこの泡に
くぐらせる想いが弾ける
体は言う事を聞かない
「いかないで」って
走ってゆければいいのに

広いようで狭いようなこの場所は
言いたい事も喉に詰まる
体が帰りたいと嘆く
「いかないで」って
叫んでくれる人がいればなぁ

抜け出せない
抜けきれない
よくある話じゃ終われない
簡単に冷める気もないから
とりあえずアレ下さい

消えない想いは
軽く火照らせて飛ばして
指先から始まる何かに期待して
泳いでく 溺れてく
今夜はこのまま
泡の中で眠れたらなぁ

だんだん息もできなくなって
心の壁も穴だらけで
制御不能 結構不幸?
自暴自棄 です。

そんなに多くはいらないから
幸せの横棒ひとつくらいで
満たされたい 満たしてみたい
乱されたい 会いたい
いつかの誰かに

やるせない
やりきれない
よくある話じゃ終われない
簡単に辞める気もないから
とりあえずアレ下さい

言えない想いは
軽く飲み込んで 隠しちゃって
鼻の先に取り付いた本音に油断して
抱かれてく 騙されてく
今夜の夜風に
吹かれながら 揺れながら

ねぇ もう 帰ろう 帰ろう
影も もう ねぇ 薄くなって
結局 味のない 味気のない

夜が眠る

癒えない想いが
加速するばかりなんだ
止められない
放たれてく 夜になる
私はこのまま

消えない想いは
軽く火照らせて飛ばして
指先から始まる何かに期待して
泳いでく 溺れてく
今夜はこのまま
泡の中で眠れたらなぁ

誰かの腕の中で
甘い夢を見ながら
眠れたらなぁ

はじめに

あいみょんさんの「今夜このまま」はテレビドラマ「獣になれない私たち」 主題歌として人気の楽曲です。

力強い歌声と切ない歌詞にハマっている方もいるのではないでしょうか。

今回は「今夜このまま」の歌詞を考察していきたいと思います。

現代の人魚姫

苦いようで甘いようなこの泡に
くぐらせる想いが弾ける
体は言う事を聞かない
「いかないで」って
走ってゆければいいのに

PVは全編船の上で撮影されており、歌詞にも「泡」がよく出てきます。

水辺の恋、泡、なんだか「人魚姫」を連想しますね。

人魚姫は声が出なくなりますが、それと同じように体が言うことを聞かない。

「いかないで」と言えなくて悩む女性の姿が思い浮かびます。

「苦いようで甘いようなこの泡」は恋心を思わせます。

ここにはいたくない

広いようで狭いようなこの場所は
言いたい事も喉に詰まる
体が帰りたいと嘆く
「いかないで」って
叫んでくれる人がいればなぁ

「広いようで狭いようなこの場所」はどこを指すのでしょうか。

その後の「体が帰りたいと嘆く」という部分から、会社や学校など、プライベートとは別の場所ではないかと推測します。

先ほどの「いかないで」が誰かに向けたものであるところから、先ほどの場面は家の中の場面でしょう。

一方こちらの「いかないで」は自分に向けられたもの(願望ですが)なので、仕事や学校から逃れたい気持ちがあるのかもしれません。

アレが欲しい

抜け出せない
抜けきれない
よくある話じゃ終われない
簡単に冷める気もないから
とりあえずアレ下さい

前の部分から、プライベートも仕事もあまり上手くいっていない女性が、どこからも抜け出せずにいる女性の姿を思い浮かべます。

よくある話が具体的に指すものを考えるのは難しいですが、「ブラック企業」だとか「恋愛ドラマ」だとかそういうものかなと思っています。

「簡単に冷める気もないから」は上手くいっていない恋愛関係でしょう。

「とりあえずアレ下さい」の「とりあえず」には、そういった上手くいっていないことから目を背けているようです。

「アレ」が何を指すか、ですが、居酒屋でよく「とりあえずビール」というワードをよく耳にしますよね。

なのでここでは、ビール(=アルコール)に逃げている様子かなと思います。

ビールであれば「泡」というキーワードにも二重の意味が持たせられるような気がします。

このまま眠ってしまいたい

消えない想いは
軽く火照らせて飛ばして
指先から始まる何かに期待して
泳いでく 溺れてく
今夜はこのまま
泡の中で眠れたらなぁ

サビの部分になります。

「消えない想いは 軽く火照らせて飛ばして」「指先から始まる何かに期待して」という歌詞からは何となく、大人の関係を想像させます。

上手くいかない恋の片鱗が見えるような気がしますね。

「泳いでく 溺れてく」は冒頭で述べたように、人魚姫が泳げなくなったイメージも持ちます。

上手くいかない、何もかもを忘れて、ビールを飲んでこのまま眠ってしまいたい。

だけどそんな幸せな気持ちになかなかなれない様子が描かれています。

「幸」「辛」の紙一重

だんだん息もできなくなって
心の壁も穴だらけで
制御不能 結構不幸?
自暴自棄 です。

そんなに多くはいらないから
幸せの横棒ひとつくらいで
満たされたい 満たしてみたい
乱されたい 会いたい
いつかの誰かに

ちょっと長いですがここはまとめて見ていきましょう。

「だんだん息もできなくなって」というところが、事態をじわじわ悪化させている様子を物語ります。

人魚姫が水の中で呼吸ができなくなる、というイメージも浮かびます。

「心の壁も穴だらけ」という表現が、かなりボロボロで追い詰められているように見えます。

「結構不幸」と自分で述べているように、何もかも上手くいっていないのでしょう。

「幸せの横棒ひとつくらいで」というのはこの不幸を表しています。

「幸せ」という字は「辛い」という字に横棒をひとつ加えただけですよね。

「満たされたい 満たしてみたい」「乱されたい 会いたい」は全て願望です。

「いつかの誰かに」は過去の恋人でしょうか。

今は誰でもいいから、満たされたり満たしてあげたり、そんな幸せを求めているようです。

辞める気はない?

やるせない
やりきれない
よくある話じゃ終われない
簡単に辞める気もないから
とりあえずアレ下さい

1番のこの部分と対比してみると、「簡単に辞める気もないから」という部分が、今度は恋ではなく仕事を指しているのかな、と思いました。

仕事も辛いけれど、また目を背けるためとりあえずビールを飲む様子が浮かびます。

大人の関係

言えない想いは
軽く飲み込んで 隠しちゃって
鼻の先に取り付いた本音に油断して
抱かれてく 騙されてく
今夜の夜風に
吹かれながら 揺れながら

冒頭でも「いかないで」と言えない女性の気持ちが描かれていましたが、こちらでも言えずにいる想いを飲みこんで隠しています。

好きな人にも言いたいことを言えず、「鼻の先に取り付いた本音に油断して」いる。

「抱かれてく 騙されてく」という部分も大人の関係を想定させます。

言いたいことも言えずに抱かれている女性の苦しさが見えるような気がします。

眠りたい 眠れない

ねぇ もう 帰ろう 帰ろう
影も もう ねぇ 薄くなって
結局 味のない 味気のない

夜が眠る

影が薄くなる時間は、そのまま夜を表します。

夜が近付いて、帰る時間になって、本当は疲れを癒したりするための夜の時間のはずなのに、それでも彼女にとって夜は味気ない辛いものなのかもしれません。

帰ろう、という気持ちと味気のない夜が相反するのは、帰っても思い悩んで息苦しい夜が来ることに対して反発しているような気がします。

夜「が」眠るというのも意味深です。

眠れているのは彼女ではないのでしょうね。

癒えない 言えない

癒えない想いが
加速するばかりなんだ
止められない
放たれてく 夜になる
私はこのまま

ここでのサビは「言えない」ではなく「癒えない」になっています。

傷ついた心が癒えないまま、加速していく。

最後の「私はこのまま」に続くのは、泡になって消えてしまいたい、という人魚姫になぞらえた苦しい気持ちかもしれません。

捨てられない期待と甘い夢

消えない想いは
軽く火照らせて飛ばして
指先から始まる何かに期待して
泳いでく 溺れてく
今夜はこのまま
泡の中で眠れたらなぁ

誰かの腕の中で
甘い夢を見ながら
眠れたらなぁ

最後のサビは最初のサビと同じになっています。

「私はこのまま」で一番重くなった気持ちから、少し軽くなってはいますが、それでも変わらず想いは消えず、「今夜このまま」というタイトルのままの苦しさが見え隠れしています。

一番最後の部分が、夢のような願望を描いています。

「誰かの腕の中で 甘い夢を見ながら 眠れたらなぁ」

という一文で、まだ期待を捨てられない、女性の想いが伝わってきます。

女性が幸せに眠れる日が来ると良いなぁと思わされますね。

まとめ

あいみょんさんの「今夜このまま」は息苦しい今を生きる女性の姿がリアルに描かれており、女性なら誰しも共感できるところが沢山あるのではないでしょうか。

全体的に願望が多く、切なさが感じられる曲のような気もします。

女性の共感を集めるような名曲ですね。

今後もあいみょんさんの活躍が楽しみになります!

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